第6回コラム【会社を作ろう!】そもそも会社って何なの?

大田区の司法書士・行政書士、東郷です。
先週まで汗だくで過ごしていたのに、連休明けからは気を抜くと寒いと思ってしまう気候になりましたね。


さて皆様、会社を作ろうと思ったことはありますでしょうか?
会社を作ろう!と思っているけれどどうすればいいのかわからない。
自分で作りました!と宣言すれば作ったことになるんだろうか?
そもそも会社って何なの?

今回のコラムではそんな皆様の疑問が少しでも解消されればと、会社とは何か、そして会社を設立するための具体的な手続きに関して2回に分けて書きたいと思います。


実は会社と一言で言ってもその形態はいくつかに分かれます。
その中で今回は現在日本で一番多い形態である【株式会社】を例に考えてみたいと思います。



会社を作るってどういうこと?



株式会社に限らずその他の会社も含めて、何故会社は作られる(設立される)のでしょうか?

既に個人事業として行っている事業を、あるタイミングからその後は会社でやるといういわゆる「法人成り」の場合と、最初から会社形態でやる場合などその設立のパターンとしてはいくつかに分けられると思います。
そしてそのそれぞれのパターンによって、例えば法人成りであれば税金対策として今がタイミングとしてベストだからなど、設立の理由も様々です。


ただ会社を設立することによって一つの法的な効果が発生します。
これは目的が何であれ共通のものです。
ではその法的効果とは何か。


それは会社を設立することで、法人としての活動が認められるようになるということです。


法人ってなぁに?

法人。
よく耳にする言葉ですが、一体どういう意味でしょうか。
法人=会社と思われている方もいらっしゃると思います。そしてそれは完全に間違いではありません。
ただ法人というのは会社よりもっと広義です。
法人の一つの形として会社があるのです。


日本の法律では「人」以外のものが【権利能力】の主体となることが認められていません。


例えば一緒に暮らしているペットの猫ちゃん。
長く暮らせば暮らすほど、家族と言えるくらい大切な存在になりますよね。
だからその大切な猫ちゃんに自分の持っている不動産の一部を贈与して、名義を猫ちゃんの名義に変更したい!

ただいくらそう思っても現行の法律ではそれはできません。
権利能力が人ではない猫ちゃんには認められていないからです。

【権利能力】・・・権利の主体となりうる資格、権利を有することができる資格のこと

要するに、猫ちゃんには法律的にはどんな権利も無いしどんな義務も無いわけです。
どれだけ家族として認められても、誰かから贈与を受けることはできませんし、不動産の所有者として名義人となることもできません。
またお魚くわえたどら猫を追っかけて、捕まえて警察に突き出しても逮捕されませんし、罰金を払う義務が発生することも無いのです。


お父さん帰ろう!もう帰ろう!
こうなったときに権利主体となれるかどうかはちょっとわかりません。



権利主体として認められているのは「人」のみであると書きましたが、法律の世界ではその「人」は2つに分けられます。
1つは【自然人】。
自然人とは所謂人間です。
私であり、このコラムを読んでいただいているあなたです。

そしてもう1つが【法人】です。
つまり【法人】というのは読んで字のごとく、法が人として認めた存在(団体)です。
それはどういうことかというと、法が権利・義務の主体となることを認めているということです。
このように法人が持つ権利・義務の主体となる権利能力のことを法人格と言います。


◆法人の例◆
法人の例としてはまず株式会社や合同会社などの会社が挙げられます。
その他に一般社団法人、財団法人、宗教法人など、その名称に【法人】という表記があるものもたくさんあります。

法人はその名義で契約を交わすことができるし、不動産を所有することもできます。
意思決定はその代表者や経営者たちの合議体、株式会社であれば代表取締役や取締役会等が行いますが、会社自体に法人としての権利があり、同様に義務が発生する存在だということです。


◆屋号と法人の違い◆
よく個人事業主が「屋号」を持つことがありますが、屋号と法人の名義(例えば会社名)との違いはその名義で権利主体となれるかどうかです。
弊所には「司法書士・行政書士事務所ヴィレ」という屋号があります。
私が契約を交わす場合、契約書にはその事務所名(屋号)の表記はされることが多いですが、その場合であっても権利主体となっているのは私個人です。
司法書士・行政書士事務所ヴィレとしては何らの権利も無いし、義務もありません。


民法に置かれている法人についての規定

民法では第三章に法人についての規定が置かれています。
どのようなことが書かれているか見てみましょう。

(法人の成立等)
第33条 1項 法人は、この法律その他の法律の規定によらなければ、成立しない。

2項 省略



民法33条1項の規定。
これは、法人は法によって権利主体となることを認められた存在であるということの裏返しです。
民法その他の法律によって規定されていない法人は存在しません。


どうすれば株式会社として活動できるのか


会社のことなら会社法を見よう!

さて、法人とは法が権利主体となることを認めた団体であるということは理解できたかと思います。
では、設立する株式会社が法人と認められるには一体どうすればよいのでしょうか?
事務所を借り、株式会社という名前を付けて活動していれば勝手に法人として認められるのでしょうか?

いいえ、そうではありません。
ここで大切な条文がまたいくつか登場します。

株式会社の細かいルールについては先ほどから登場している民法に規定はありません。
会社についての規定ですので、会社法ですね。
会社法第49条に株式会社の成立の規定が置かれています。

 

(株式会社の成立)
第49条 株式会社は、その本店の所在地において設立の登記をすることによって成立する。



必要なのは登記でした


どうやら話のゴールが見えてきたようです。

株式会社は登記をすることで成立します。
登記がされていなければたとえ株式会社という名前の付く団体であっても、事務所に立派な看板がかかっていても、たくさんの従業員が働いていても、法的には株式会社としては存在していません。


ただこの条文には【法人】という言葉は出てきませんね。
このままだと株式会社が成立してもそれが法人であるということにはならないように思えます。


それについての規定は同じく会社法の第三条です。

(法人格)
第3条 会社は、法人とする。

※ちなみに会社法上における「会社」の定義とは…

(定義)
第2条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

1 会社 株式会社、合名会社、合資会社又は合同会社をいう。

(以下省略)



というわけで、株式会社として成立することができれば法人として認められるということが無事にわかりました。

株式会社として成立すれば、会社として人を雇ったり、取引を行ったりすることができる!!!
じゃあいよいよその設立の手続きについてだね!

と軽やかに続けていきたいところですが、長くなっていますので具体的な手続きに関しては次回のコラムで書きたいと思います。


今回も最後まで読んでいただきありがとうございました!
(続く)

司法書士・行政書士事務所 Wille

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