大田区生まれ大田区育ちの行政書士・司法書士の東郷です。
前回に引き続き、行政書士と司法書士の違いについて書きたいと思います。
今回は司法書士篇です!
司法書士って何をする人なの?
登記のスペシャリストです!
幅広いためにどうもわかりにくいと言われがちな行政書士の業務に対して、司法書士には世間一般にわかりやすく、認知されている業務があります。
それは登記業務です。
司法書士法の業務に関する条文には以下の通り書かれています。
(業務)
司法書士法
第三条 司法書士は、この法律の定めるところにより、他人の依頼を受けて、次に掲げる事務を行うことを業とする。
一 登記又は供託に関する手続について代理すること。
(以下略)
実は全ての登記を司法書士が行えるわけではありません。
代表的なところでは不動産の表題登記は土地家屋調査士さんの業務です。
そのようないくつかの例外を除いて司法書士はほとんどの登記手続きを代理することができます。
では登記とはなんでしょうか?
不動産登記、商業登記などその種類によって細かい意味合いは変わってきます。
不動産登記はその不動産が
どういったもの(どこにあって、どれくらいの広さで、何のための不動産なのか等々)で、
誰が所有者で、
誰のどんな権利(例:抵当権)が乗っかているのか、
そういったことを履歴も含めて広く一般の人が知ることができるようにしている制度です。
登記の制度が無いと取引が円滑に行われることが難しくなります。
不動産を購入しようと思っても、もしかしたら誰か別の他人の権利、例えば抵当権がいくつも付随しているかもしれない…となれば怖くて買えたもんじゃありませんよね。
そもそも買おうと思っている相手が本当にその不動産の所有者かどうかもわからないわけです。
それでは取引は崩壊してしまいます。
商業登記はどうでしょうか?
株式会社を例に取ると登記されるのは会社名、本店の所在地、会社の目的、資本金、会社の代表者、その他会社の組織等に関してです。
もちろん取引の度に会社の登記を確認することは無いと思いますが、代表取締役だと名乗っている相手が本当にその通りなのかどうか確認する手段が無いのはとても怖いことです。
資本金の額=会社の信用ではありませんが、一つの基準として見る企業もあるでしょう。
そういったものが確認取れなくなってしまうわけです。
その他にも船舶の登記や後見の登記など、登記にはいくつかの種類がありますが、総じて登記とは世の中の取引を円滑にする仕組みであると言っていいかと思います。
その登記のスペシャリストが司法書士です。
名称から見る司法書士業務
前回のコラムでも書いた通り、司法書士にも名称にその業務のヒントがあります。
行政書士が行政に提出する書類を報酬を受けて作成することができる。
だとすれば司法書士は司法に提出する書類の作成ができるということになりますね。
司法という言葉を掘り下げてしまうと難しい話になって全然面白くないので、司法書士が作る書類の提出先について、司法書士法から引用します。
第三条
司法書士法
一(省略)
二 法務局又は地方法務局に提出し、又は提供する書類又は電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。第四号において同じ。)を作成すること。ただし、同号に掲げる事務を除く。
三(省略)
四 裁判所若しくは検察庁に提出する書類又は筆界特定の手続(不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)第六章第二節の規定による筆界特定の手続又は筆界特定の申請の却下に関する審査請求の手続をいう。第八号において同じ。)において法務局若しくは地方法務局に提出し若しくは提供する書類若しくは電磁的記録を作成すること。
書類の提出先として3者登場します。
・法務局(又は地方法務局)
・裁判所
・検察庁
です。
上記3つの機関に提出する書類の作成ができると司法書士法では規定されています。
一定の要件を満たした司法書士は簡易裁判所での代理権が認められています
裁判所での代理は主に弁護士さんが行うことが多いですが、一定の要件を満たした司法書士であれば行うことができます。
以下法務省のサイトからの引用です。
法務大臣の認定を受けた司法書士は,簡易裁判所において取り扱うことができる民事事件(訴訟の目的となる物の価額が140万円を超えない請求事件)等について,代理業務を行うことができます(簡裁訴訟代理等関係業務)。
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji116.html 法務省webサイトより引用
簡裁訴訟代理等関係業務とは,簡易裁判所における
(1)民事訴訟手続
(2)訴え提起前の和解(即決和解)手続
(3)支払督促手続
(4)証拠保全手続
(5)民事保全手続
(6)民事調停手続
(7)少額訴訟債権執行手続及び(8)裁判外の和解の各手続について代理する業務
(9)仲裁手続及び(10)筆界特定手続について代理をする業務等をいいます。
簡裁訴訟代理等関係業務は,業務を行うのに必要な能力を有すると法務大臣が認定した司法書士に限り,行うことができるとされています。
司法書士試験合格後に、さらに簡裁訴訟代理等認定考査という試験を通らなければ上記の業務はできません。
ちなみに私はコロナの影響でこの認定考査が延期になったため、来月受験予定です。
成年後見や財産管理業務でも司法書士は活躍できます
上記に挙げた業務以外にも司法書士が受任することのできる業務はたくさんあります。
例えば成年後見業務や財産管理業務と呼ばれるものです。
それぞれの細かい業務内容についてはまた別の機会に詳しく紹介できればと思います。
2回に分けて行政書士と司法書士の業務について書かせていただきましたが、いかがでしたでしょうか?
かなりざっくりとした紹介ではありましたが、行政書士と司法書士の違いは何となく掴めたのではないでしょうか?
より詳しいことについて、今後も引き続きコラムに書いていきたいと思います。